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管理費に消える料金収入
批判されないメンテナンスコスト

 道路問題が議論されるときには、道路の新設ばかりがフォーカスされます。しかし新設事業より、維持管理事業の方が“安定利益”を供給します。もちろん“利益”の供給先は公団のファミリー企業です。
 そして、新設事業に比較して維持管理事業が批判を受けにくい現実は、維持管理にかかわる業界が腐敗しやすいことを示しています。

 それでは維持管理事業のコストを、ふたつの「地域プール」で確認してみよう。

収入が多い順序 収 入
A(億円)
管理費
(%)
金 利 合 計
B(億円)
収支率
B/A×100
借入金残高
(億円)
償還準備金
(億円)
横浜プール ⇒内訳を開く 522.1 193.6 186.5 380.1 73 728 1459
千葉プール ⇒内訳を開く 318.6 122.6 60.9 183.5 58 1168 2716
 表が示すように、ドル箱である二つのプールですら、料金収入のおよそ4割が管理費に消えてしまっています。
( 横浜プールで約37%、千葉プ-ルが約38%)

 管理費の内訳については、200ページを越える道路公団の年報にも書かれていません。その内訳を予想するなら、道路の維持補修コスト、交通情報システム運営維持コスト、案内看板維持コスト、料金徴集コストなどが大きなウエイトを占めていることに間違いないでしょう。

 そして管理費のなかでは、道路の維持補修コストが最大のウエイトを占めていると予想できます。さらに、その維持補修コストなかで最大であろう舗装コストについてつづけます。
 日本には2万を超える道路舗装会社がありますが、実際に舗装を施工できる会社は3千社に過ぎないと言われています。
元請・下請・孫請――業界全体が協調しながら棲み分ける極めて日本的なシステムです。これが高コスト構造の原因だといえます。そしてこのシステムを容認してきたのが「政官業の癒着の構造」であり、具体的には「天下り」「贈収賄」「談合」です。

 「天下り」は法律で規制されない限りどうしようもありません。「贈収賄」は“密室の犯罪”といわれ、内部告発でもない限りバレることはありません。それならせめて「談合」について考えてみましょう。

神戸新聞Web 「談合に迫る」
YAHOO!「談合と不正入札」

 道路の維持管理事業についての参考資料

道路交通情報を独占する公益法人
警察の公共事業 -反則金の行方-


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